
深セン・前海深港現代サービス業合作区で9月1日、金融で低空経済(ドローン・eVTOL等)を後押しする12項目の措置が施行されました。保険の共同引受資金プールや融資の損失補てん、初飛行への奨励金などが柱です。
概要
深セン市の前海深港現代サービス業合作区(前海)で、2026年9月1日から「前海深港現代サービス業合作区における金融による低空経済産業の質の高い発展を後押しする12の措置」が施行されました。措置は深セン市政府公報に掲載され、8月28日に21世紀経済報道が内容を報じています。ドローンやeVTOL(電動垂直離着陸機)など、低い高度の空域を活用する「低空経済」の産業チェーン全体と企業のライフサイクルに応じた金融ニーズを対象に、6分野・12項目の具体策を打ち出しています。
背景
中国では低空経済が新たな成長分野として位置づけられ、深センはドローン産業の集積地として知られています。報道によると、前海には低空経済の重点企業が239社集まり、超大型工場の建設や超軽量eVTOLの特別飛行許可の取得、1万2,000平方メートルを超えるドローン試験センターの整備などが進んでいます。また、国家発展改革委員会、国家金融監督管理総局、中国民用航空局は2026年2月に低空経済分野の金融支援に関する実施意見を出しており、2027年までに無人航空機の賠償責任保険を義務化する制度の確立を目標としています。今回の措置は、こうした国の方針を前海で具体化するものとみられます。
主なポイント
- 保険商品の開発:eVTOL、産業用ドローンおよび主要部品を対象に、研究開発保険、財産保険、製品・賠償責任保険、人材関連保険などの開発を保険会社に促します。
- 共同引受資金プール:保険会社による市場化された共同引受体の結成を奨励し、低空関連保険の損害率が100%を超えた場合、超過分の50%を補てんします。
- 信用リスクの分担:銀行による低空人材ローン、研究開発ローン、産業クラスターローンなどについて、届出済み商品の不良債権の純損失の50%を補償します(1銀行あたり年間50万元が上限)。
- 「入板即貸」:前海株権取引センターの中小企業ボードに「前海低空経済専区」を設け、掲載企業が優先的に融資を受けられるようにします。
- 上場支援:新三板への「グリーンチャネル」を設け、メインボード、創業板(ChiNext)、科創板、北京証券取引所への道筋を支援します。
- 利用シーンへの奨励:前海での初飛行・初運航で保険に加入したプロジェクトに1件20万元、初の越境ルートには1件30万元を支給します。
- 越境保険と輸出支援:深セン・香港・マカオの保険会社による越境保険の開発と保険の相互承認の模索を促し、輸出信用保険の保険料の50%(1社あたり年間20万元が上限)を補助します。
日本・深圳の交流への意味
今回の措置は、低空経済の発展において、機体や技術だけでなく保険や融資といった金融面の仕組みづくりが重視されていることを示しているとみられます。日本でもドローン物流や「空飛ぶクルマ」の実用化に向けた取り組みが進んでおり、安全性の確保やリスク分担のあり方は共通の課題です。日本の保険会社や金融機関、ドローン・部品メーカーにとって、前海の制度設計は参考事例として注目される可能性があります。また、越境ルートへの奨励や香港との保険相互承認の模索は、前海が国際的な連携を視野に入れていることを示しており、海外企業との協力の余地も含め、今後の運用に関心が集まっています。低空経済関連の事業を検討する日系企業にとっても、前海での保険や融資の具体的な支援内容を把握することは、現地の事業環境を見極めるうえで参考になるとみられます。
今後の見通し
報道では、各措置の申請手続きや詳細な運用ルール、実施期間などについては明らかにされていません。共同引受資金プールの規模や、越境保険の相互承認がどこまで具体化するかも現時点では未定であり、今後の関係部門からの発表が待たれます。
促進会より
当会は、前海をはじめとする深センの政策動向と、低空経済などの新興産業の発展を引き続き注視してまいります。日本と深センの企業・団体が最新の制度について理解を深められるよう、情報共有と交流の場づくりに努めてまいります。
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