
深セン市政府の公式発信「深圳発布」は8月19日、深セン企業の海外展開を紹介し、DJIとInsta360の2社が日本の携帯型ビデオカメラ市場で約85%のシェアを占めたと伝えました。日本市場を「競争力を測る窓口」と位置づけています。
概要
2026年8月19日、深セン市政府の公式情報発信プラットフォーム「深圳発布」は、深セン企業の海外展開と外資誘致の動きをまとめた記事を公開し、経済メディアの21世紀経済報道(21財経)などにも転載されました。記事は日本市場を「深センのハイテク製品の競争力を観察する最良の窓口」と位置づけ、ドローン・カメラ大手のDJI(大疆創新)と、360度カメラなどで知られるInsta360(影石創新)の日本での実績を詳しく紹介しています。記事によると、両社は2026年4月時点のデータで、日本の携帯型ビデオカメラ市場の約85%のシェアを合わせて占めたとされます。
背景
日本はかつて、ソニー、キヤノン、ニコンといったメーカーが世界市場をけん引する「カメラ王国」と呼ばれてきました。一方、深センではドローン、ジンバル(手ぶれ補正機構)、アクションカメラなどの分野で、ハードウェアとソフトウェアを一体で開発する企業が育ってきました。記事は、日本の消費者が購入までに時間をかけて比較検討し、品質やアフターサービスへの要求水準が非常に高いこと、また販路や市場参入のハードルも高いことに触れたうえで、そうした市場で成果を上げている点を強調しています。地元ブランドが強く、消費者の目が厳しい成熟市場で評価されることは、販売台数の伸び以上に製品そのものの競争力を示すというのが記事の見方です。
主なポイント
- 2026年6月、東京・渋谷でInsta360のフラッグシップ・ジンバルカメラ「Luna Ultra」が発売され、購入を求める人が殺到し、9時間近く行列に並んだ消費者もいたとされます。
- それに先立ち、DJIの新製品「Osmo Pocket 4」は日本発売からわずか9日で、同月のビデオカメラ全体の販売台数シェア21.5%を獲得したとされます。
- 同じ月、DJIの日本のビデオカメラ市場におけるシェアは72.5%に達したと紹介されています。
- 記事は、ジンバルによる手ぶれ補正、AIアルゴリズム、小型・軽量化を組み合わせたソフト・ハード一体の提案が「映像の撮り方」を変えたと分析しています。
- 同じ記事では自動車分野にも触れ、BYDが日本の軽自動車規格に合わせて開発したEVが受注開始の初週に5,000台を超える受注を集めたことも紹介しています。
- 外資誘致の面では、2026年上半期の深センの実行ベース外資利用額が320億元を超え前年同期比50%以上増加したこと、新設の外資系企業が6,000社を超えたこと、さらに日本の企業グループ(中国語表記「朗玩集団」)が深センに中国地域本部を設けたことにも言及しています。
なお、記事は市場シェアの集計元となった調査機関の名称を明記していません。
日本・深圳の交流への意味
日本の消費者に深センブランドの製品が広く受け入れられていることは、深セン企業にとって日本が重要な販売市場であると同時に、製品の品質や使い勝手を磨く「試金石」になっていることを示しているとみられます。日本の家電量販店や販売代理店、アクセサリーメーカー、映像制作に関わる事業者にとっては、深セン企業との取引や協業の機会が広がる可能性があります。また、日本のカメラ関連メーカーにとっては、深セン企業の製品開発のスピードやソフトウェア活用の手法が改めて注目される契機になっているとみられます。一方で、深センから日本へ製品が届くだけでなく、日本企業が深センに拠点を設ける動きも紹介されており、双方向の交流が続いている点にも注目が集まっています。さらに、深センブランドの製品が日本で広がるにつれ、製品の活用やアフターサービス、コンテンツ制作などをめぐる人の往来やビジネス協力も増えるとみられます。
今後の見通し
記事は今後の具体的な販売目標や新製品の計画には触れておらず、日本市場でのシェアが今後どのように推移するかは現時点では分かりません。深センでは2026年11月にAPEC首脳会議が予定されており、市として企業の海外展開と外資誘致の双方を後押しする姿勢を示していることから、関連する発信が続くとみられます。日本市場では国内メーカーも新製品を投入し続けており、深センブランドが現在の地位を維持できるかどうかは、今後の市場データを見守る必要があります。
促進会より
当会は、深セン企業の日本での事業展開や日本企業の深セン進出に関する動きを引き続き注視してまいります。今後も、深センと日本の企業・団体が情報を交換し、交流を深めるための場づくりに努めてまいります。
本記事は公開情報をもとに作成した参考情報です。内容の正確性・完全性を保証するものではありません。

