
8月14日、深圳と香港の境界にある河套深港科技創新協力区の最新動向が報じられました。香港の起業家が越境の知的財産証券化で資金を得た事例や、ロボット国際大会での優勝などが紹介され、同区の口岸ではビザ免除で入境した外国人が夏季に43.2%増えました。
概要
2026年8月14日、広東省の放送局「大湾区之声」が制作し中国新聞網が転載した特集記事は、深圳と香港の境界に位置する河套深港科技創新協力区(河套協力区)で、深港の科学技術協力が加速している様子を伝えました。同日、深圳出入境辺防検査総站の皇崗辺防検査所は、同区内にある口岸で7月1日から8月13日までにビザ免除で入境した外国人が延べ2.8万人と前年同期比43.2%増になったと発表しました。
背景
河套協力区は深圳河を挟む「一河両岸、一区両園」の構造をとり、面積は4平方キロメートルに満たない(約3.89平方キロメートル)コンパクトな区域です。2023年8月には国務院が深圳園区の発展計画を公布し、香港の基礎研究力と深圳の産業化能力を組み合わせる拠点として整備が進められてきました。
深圳特区報によると、2026年第1四半期には深圳園区の人工知能(AI)やバイオ医薬などの新興産業の規模が110億元を超え、前年同期比10%増となりました。「河套香港青年科創谷」の運用開始で約1万平方メートルの産業空間が加わり、園区が提供してきた産業空間は累計20万平方メートルを超えています。同四半期には8社が新たに入居し、香港理工大学深圳研究院も開設されました。
主なポイント
- 越境の知財金融:非侵襲型の血糖モニタリング技術を河套に持ち込んだ香港の起業家、何耀威氏の企業は、深港をまたぐ「N+1」型の知的財産証券化プロジェクトの最初の受益企業となり、香港側から知財を担保とした資金を調達しました。
- ロボット研究:招商局獅子山人工知能実験室の若手チームは、衣類を畳むロボットアームや四足歩行ロボットを開発しており、IEEEの国際ロボティクス・オートメーション会議で行われた「LeHome Challenge 2026」決勝で世界1位となりました。
- 深港の二拠点化:深圳と香港の双方に拠点を置く研究チームが増えており、河套はその「最初の拠点」となることが多いとされています。
- 政策面:第15次5カ年計画綱要は、重要な協力プラットフォームが新たな政策を先行して試す役割を担うよう求めており、深港両地は同区を「世界クラスの研究ハブ」とすることを目指しています。
- 人の往来:皇崗・福田口岸などを通じた7月1日〜8月13日の出入境者は延べ958万人(1.1%増)、外国人の出入境は延べ5.2万人(1.3%増)。中国本土から香港への渡航者は約180万人(18.1%増)でした。
日本・深圳の交流への意味
河套協力区は、香港の大学や研究機関の基礎研究と、深圳の製造・サプライチェーンを結び付ける試みとして位置づけられています。香港を通じた資金調達や国際的な研究ネットワークを活用できる点は、香港に拠点を持つ日本企業や、大学・研究機関にとっても関心を引く要素とみられます。
また、外国人旅行者の間では、ロボット体験店や科学館、ドローンの試験基地、華強北のスマート製品などが関心を集めていると報じられています。ロボット、AI、医療機器などの分野で、日本の研究者や企業が深圳・香港の関係者と接点を持つ場として、同区の今後の制度設計に注目が集まっています。越境の研究協力モデルをめぐる模索は、第三者として深港の協調イノベーションを観察する窓口にもなっています。
今後の見通し
報道は、制度面の障壁を取り除きながら協力を深める方針を伝えていますが、新たな具体的措置や時期は示されていません。越境データ流通や人材の往来、研究資金の扱いなどについて、今後どのような先行策が打ち出されるかが焦点となりそうです。限られた面積の中で高水準の研究チームや国際的な資源を引き付け続けられるかも、「一区両園」モデルの成果を測る試金石となるとみられます。
促進会より
当会は、河套協力区をはじめとする深港連携の動きを引き続き注視してまいります。日本と深圳の企業・研究機関が交流し、相互理解を深めるための情報提供と場づくりに努めてまいります。
出典
本記事は公開情報をもとに作成した参考情報です。内容の正確性・完全性を保証するものではありません。

