
深圳市発展改革委員会は2026年3月23日、APEC会議の開催を機に一流のビジネス環境づくりを加速する工作方案(21条)を公表しました。外国人の宿泊登録の簡素化、深港の信用情報・医療データの共有、グリーン貿易への対応支援などが柱です。同日、法治面の方案も公表されました。
概要
深圳市発展改革委員会は2026年3月23日、「深圳市がAPECの機会を捉え一流のビジネス環境(営商環境)づくりを加速する工作方案」を公表しました。方案は21条で構成され、2026年に深圳で開かれるAPEC会議を契機に、外国人や香港・マカオ住民の利便性向上、深圳・香港間の制度連携、貿易のグリーン化への対応などを進める内容です。
同じ3月23日には、深圳市司法局も「深圳市2026年法治化営商環境の最適化工作方案」(33条)を公表しました。同時期には市場化の観点からの2026年営商環境方案も示されており、深圳市はAPEC開催の年に合わせて、ビジネス環境の改善策を相次いで打ち出しています。
背景
中国は2026年のAPEC議長国を務め、深圳が主要な開催都市となっています。各国・地域の首脳や閣僚、経済界の関係者が深圳を訪れる機会となることから、市は受け入れ体制と同時に、外資系企業や海外からの来訪者の目線に立った制度整備を進めているとみられます。
深圳はこれまでも前海や河套といった協力区を中心に、香港との規則の連携や越境データ、紛争解決の仕組みづくりに取り組んできました。今回の方案は、その取り組みを市全体のビジネス環境改善策として整理し直したものと位置付けられます。
主なポイント
APEC機会を捉えた工作方案(21条)の主な内容:
- 宿泊登録の簡素化:港澳住民の往来通行証や外国人のパスポートを自動で読み取る技術を活用し、宿泊時の登録手続きを迅速化します。
- ヨット往来の円滑化:出入境の信用管理制度を整え、香港・マカオと連携した大湾区のヨット出入境ビッグデータ基盤を構築します。
- グリーン貿易への対応:大湾区のカーボンフットプリント認証の公共サービス基盤を深圳国際貿易「単一窓口」に組み込み、炭素関税のシミュレーション計算などを提供する「グリーン貿易」専用窓口を設けます。
- 越境資産運用の利便性:「跨境理財通」の枠組みで、本土と香港・マカオの販売機関・提携機関・投資家をつなぐオンライン相談の仕組みを整えます。
- 信用情報の相互認証:深港越境データ検証プラットフォームの活用場面を10件以上実現し、深港の信用情報の相互認証と越境融資商品の開発を後押しします。
- 医療データの共有:臨床検査や画像検査の結果を深港の医療機関で共有する仕組みを探り、香港の電子健康記録システムとの接続を目指します。
- 司法協力:香港・マカオ関係の民商事事件の文書送達手続きを改善し、香港の調停組織を特別招請調停組織とする試行を進めます。
法治化営商環境方案(33条)の主な内容:前海・河套の法整備(前海合作区条例の改正など)、APEC会議の法治サービス保障行動方案の策定、AI関連の裁判基準やルールの研究、香港法を準拠法とし香港を仲裁地とする選択の推進、国際商事紛争解決の拠点づくりなどが挙げられています。
日本・深圳の交流への意味
宿泊登録の迅速化や越境データ・信用情報の共有、紛争解決手段の多様化は、深圳を訪れる日本の出張者や、深圳と香港の双方に拠点を持つ日本企業の実務に関わる内容とみられます。特にカーボンフットプリント認証や炭素関税の試算サービスは、輸出に取り組む企業の脱炭素対応に関わる取り組みとして注目が集まっています。
APECの開催により、深圳の国際的な注目度は一段と高まるとみられます。日本企業にとっては、深圳の制度改善の内容を把握し、現地での事業運営や視察の機会に生かす視点が求められそうです。
今後の見通し
方案に掲げられた各施策の実施時期や担当部門の詳細は、今後の関連部門の発表で明らかになる見込みです。APEC会議に向けた法治サービス保障行動方案についても、具体的な内容は今後示されるとみられます。
促進会より
当会は、APEC開催を控えた深圳のビジネス環境の変化を引き続き注視してまいります。日本と深圳の企業の皆さまに向けた情報共有と交流の場づくりに、今後とも努めてまいります。
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