
中国商務部など9部門は2026年3月19日、旅行サービス輸出の促進とインバウンド消費の拡大に向けた政策措置を発表しました。観光、展示会、スポーツ、医療、教育など7分野16項目で、ビザ免除対象国の段階的拡大や電子ビザの導入、免税手続きの改善などを盛り込んでいます。
概要
中国商務部は2026年3月19日、外務省、文化観光部、国家衛生健康委員会、国家移民管理局など8部門と共同で、「旅行サービス輸出の促進とインバウンド消費の拡大に関する政策措置」(商服貿発〔2026〕39号)を発表しました。文書は3月16日付で、商務部サイトには3月20日に掲載されています。
措置は、インバウンド観光消費、ビジネス往来、スポーツイベント、エンターテインメント、医療・健康、教育・研修、支援体制の7分野・16項目で構成されています。外国人旅行者による中国国内での消費を「サービス輸出」と位置付け、サービス貿易と国内消費の連携を図る狙いがあります。
背景
中国は近年、外国人の入国手続きの簡素化を進めてきました。日本国籍者については2024年11月30日から短期滞在のビザ免除措置が再開され、同年12月には過境(トランジット)ビザ免除の滞在可能時間が240時間に延長されました。キャッシュレス決済への外国カードの対応や出国時の税還付の改善なども進められています。
深圳は香港と接する口岸都市であり、高交会(中国国際ハイテク成果交易会)や文博会(中国(深圳)国際文化産業博覧交易会)など大型の国際展示会が開かれる都市でもあります。今回の全国的な措置は、こうした都市でのビジネス・観光往来にも関わる内容です。
主なポイント
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 観光消費 | 「Hello, China」ブランドの発信、外国人向けワンストップ情報基盤、複数都市周遊商品、多言語サービスや観光地の予約の円滑化 |
| ビジネス往来 | 国家級展示会に参加する海外バイヤーへのビザの便宜、近隣での滞在延長手続き、会場の「海外顧客サービスデスク」設置の奨励 |
| スポーツ・娯楽 | 大型イベント開催時の口岸での専用通路、「イベント+観光」商品、国際音楽祭や映画祭の開催支援、夜間公演時間の延長容認 |
| 医療・健康 | 国際医療観光集積地の整備、外資独資病院の試行、国際商業保険の直接決済の拡大 |
| 教育・研修 | 「留学中国」ブランドの強化、中国語教育の海外展開、「中国語+技能」研修 |
| 支援体制 | 単方面ビザ免除対象国の段階的拡大、電子ビザのオンライン申請試行、入国カードのオンライン届出、出国時税還付の対象店舗・商品の拡大、多言語表示の拡充 |
医療分野では、海南の博鰲楽城国際医療観光先行区で、国内未承認の臨床急需の医薬品(ワクチンを除く)や医療機器の使用を認める仕組みの活用や、中医薬の消費とサービス貿易を組み合わせる試行も盛り込まれました。教育分野では、留学生が卒業後に中国で就労するためのルールの整備や、「中国語+観光」「中国語+越境EC」などの職業教育の推進が挙げられています。
このほか、ナビゲーション、配車、フードデリバリー、ショッピングなど国内アプリの多言語対応を促すことや、インバウンド消費関連の小規模企業向けの信用保証・利子補給も盛り込まれました。なお、文書には数値目標や予算額、実施期限は示されておらず、具体策は各地の実施文書に委ねられています。
日本・深圳の交流への意味
展示会参加者へのビザの便宜や電子ビザの導入、決済や多言語対応の改善は、深圳の展示会や企業を訪れる日本のビジネス関係者にとって、手続き面の負担軽減につながる可能性があるとみられます。中国アプリの多言語化が進めば、短期出張者の移動や買い物の利便性が高まることにも注目が集まっています。
また、医療観光や国際商業保険の直接決済、留学生の受け入れ環境の整備は、日本からの長期滞在者や学生の往来にも関わる分野です。観光やコンテンツ、イベント運営に携わる日本企業にとっては、中国のインバウンド市場の動向を把握する手がかりになると考えられます。
今後の見通し
措置は方向性を示す内容が中心で、ビザ免除の対象国拡大や電子ビザの実施時期など、具体的な運用は今後の関係部門の発表を待つ必要があります。深圳を含む各地方が、どのような実施策を打ち出すかが今後の焦点となります。
促進会より
当会は、日本と深圳の人的往来に関わる制度の動きを引き続き注視してまいります。ビジネス、観光、教育など幅広い分野での交流の機会づくりに、今後とも努めてまいります。
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