
中国人民銀行深圳市分行によると、2025年に深圳を訪れた外国人による決済は1億8,900万件、264億元に上り、件数・金額ともに前年比約3割増加しました。海外カード対応端末の普及や即時の税還付サービス導入など、決済の利便性向上が訪問客の消費を後押ししています。
概要
深圳市政府が2026年1月14日に伝えたところによると、中国人民銀行深圳市分行の集計で、2025年に深圳を訪れた外国人など海外からの訪問者による決済は1億8,900万件、金額は264億元に上りました。件数・金額ともに前年比で約30%増加しています。
深圳市は、海外発行カードの受け入れ拡大や空港での決済支援、外国人旅行者向けの税還付手続きの迅速化などを進めており、こうした決済環境の改善が訪問客の消費を後押ししていると説明しています。
背景
中国ではスマートフォンによるモバイル決済が広く普及している一方、海外からの訪問者にとっては、自国のカードや電子マネーが使える場面が限られることが課題とされてきました。中国は外国人の入国を促すため一部の国を対象に一方的なビザ免除措置を試行しており、訪問者の増加に合わせて決済の利便性向上が求められていました。
深圳宝安国際空港によると、2025年1〜11月に同空港を利用した外国人の出入国者数は前年同期比44%増、ビザ免除による入国者数は133%増となりました。海外からの訪問者が増えるなか、市内の決済インフラの整備が急がれていました。
主なポイント
| 項目 | 2025年の実績 |
|---|---|
| 訪問者による決済 | 1億8,900万件・264億元(いずれも約30%増) |
| 海外カード対応のPOS端末 | 5万2,000台超 |
| 同端末での取引 | 176万件・37億4,000万元 |
| 入境地点の総合サービスセンター | 問い合わせ2万3,000件超、取扱3,300件 |
- 空港・入境地点での支援:宝安空港などに訪問者向けの決済サービスセンターを設け、決済、観光、通信、交通について多言語で支援しています。外貨両替機、国際ATM、デジタル人民元の端末も設置され、手続きを短時間で済ませられるようにしています。
- 市内での決済:海外の電子ウォレットをそのまま利用できる仕組みや、海外カードを国内の決済アプリにひも付けるサービス、訪問者向けの「小額ウォレット」などの導入で先行しているとしています。
- 税還付:2025年にはアリペイやWeChatを通じた第三者による還付サービスを導入し、購入時にその場で還付を受けられる「即買即退」を実現しました。オンラインで申請できるミニプログラムも用意され、2025年1〜11月の税還付の取引件数は13倍、「即買即退」の対象商品の販売額は約40倍に増えました。
発表では、利用者の具体例も紹介されています。スペインからの旅行者は空港のスタッフの支援で数分のうちにモバイル決済を設定でき、モンゴルからの来訪者はハイテク見本市の会場で自国の電子ウォレットをそのまま使えたといいます。また、フランスからの旅行者は前海の免税店でスマートフォンをかざすだけで、1分もかからずに還付を受けられたと紹介されています。空港の外国人旅客サービスセンターでは、100以上の言語に対応するAI翻訳機も導入されています。
日本・深圳の交流への意味
日本から深圳を訪れるビジネス関係者や旅行者にとって、海外カードが使える店舗の増加や空港での支援体制の充実は、滞在中の利便性を高めるものとみられます。特に、現地の決済アプリに慣れていない短期の出張者にとって、入国直後に決済手段を整えられる環境は心強いといえます。
また、訪問者向け消費の拡大は、深圳で小売・サービス業を展開する日本企業にとっても関心の高いテーマです。税還付の迅速化や決済手段の多様化が、訪問者の購買行動にどのような変化をもたらすかに注目が集まっています。
今後の見通し
深圳市は、海外からの訪問者の消費の潜在力を引き出し、決済の利便性で世界的な水準を目指すとしています。ただし、2026年の具体的な目標値や新たな施策の内容については、今回の発表では示されていません。2026年11月には深圳でAPEC首脳会議が予定されており、海外からの訪問者向けの決済・税還付サービスがどこまで拡充されるかに注目が集まっています。
促進会より
当会は、日本から深圳を訪れる皆さまの利便性に関わる制度やサービスの動向を引き続き注視してまいります。両地域の往来と交流に役立つ情報の提供に努めてまいります。
出典
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