
360度カメラ「Insta360」を展開する深圳の影石創新科技が2025年6月11日、上海証券取引所の科創板に上場しました。公開価格47.27元に対し初値は182元となり、調達額は約19.4億元です。同社は東京に日本法人を置き、日本でも製品を販売しています。
概要
360度カメラやアクションカメラのブランド「Insta360」を展開する深圳の影石創新科技(Arashi Vision)が、2025年6月11日、上海証券取引所の科創板(STAR Market、証券コード688775)に上場しました。新浪財経によると、発行株式数は4,100万株、公開価格は47.27元で、調達総額は19.38億元でした。上場初日の初値は182元と、公開価格を約285%上回り、記事掲載時点の時価総額は700億元を超えていました。
背景
同社は南京大学出身の劉靖康(JK Liu)氏が創業した深圳のハードウェア企業で、360度カメラ、親指サイズの小型カメラ、ウェブカメラ、スマートフォン用ジンバルなどを手がけています。深圳本社のほか、香港、ロサンゼルス、東京、ベルリンに拠点を置き、海外市場を中心に販売を伸ばしてきました。2020年にはドイツのライカと戦略提携を発表し、共同開発した1インチセンサー搭載モジュールを製品化しています。日本では2019年9月に日本法人「Insta360 Japan」を東京に設立しました。
同社は2020年に科創板への上場計画を公表しており、今回、約5年を経て上場が実現しました。製品面では、2016年に発売したスマートフォン装着型の「Nano」をはじめ、2017年の「ONE」、2019年の小型カメラ「GO」、2020年のモジュール式カメラ「ONE R」など、ラインアップを拡大してきました。
主なポイント
| 期間 | 売上高 | 純利益 |
|---|---|---|
| 2022年 | 20.41億元 | 4.07億元 |
| 2023年 | 36.36億元 | 8.30億元 |
| 2024年 | 55.74億元 | 9.95億元 |
| 2025年1〜3月 | 13.55億元(前年同期比約40.7%増) | 1.76億元(同約2.5%減) |
- 成長の持続:売上高は2022年から2024年までの2年間で2.7倍以上に拡大しました。
- 2025年1〜3月期:売上高は大きく伸びた一方、研究開発費率と販売費率がそれぞれ約3.21ポイント、約3.18ポイント上昇し、純利益は小幅に減少しました。
- 株主構成:上場前は、劉靖康氏が議決権の約34%を実質的に支配し、筆頭株主は北京嵐鋒(持株比率約29.94%)で、IDG系(約13.32%)、啓明創投系(約9.40%)、香港迅雷(約8.73%)などが主要株主に名を連ねていました。
- 市場での地位:調査会社Greenlight Insightsのデータによると、2019年の世界の全天球カメラ市場で同社のシェアは33%と首位でした。日本語版Wikipediaによると、2023年には200以上の国・地域で製品を販売しています。
- リスク要因:米GoProが2024年に米国で知的財産を巡る調査申し立てと訴訟を起こしており、結果は未確定とされています。
日本・深圳の交流への意味
Insta360は、深圳のハードウェア開発力を背景に、創業当初から海外市場を重視してきた企業の一例です。日本でも日本法人を通じて製品が販売されており、旅行やスポーツ、映像制作などの用途で知られています。今回の上場で資金調達力が高まったことで、研究開発や海外販売の強化が進むとみられ、日本市場での展開や日本企業との取引にも影響が及ぶ可能性があります。また、深圳発のコンシューマー向けハードウェア企業が資本市場で評価を受ける事例として、日本のスタートアップ関係者や投資家からも注目が集まっています。
今後の見通し
調達資金の具体的な使途や、日本を含む地域別の事業計画については、今回確認した報道では詳しく示されていません。知的財産を巡る海外での係争の行方も含め、上場後の事業展開が注目されます。
促進会より
当会は、日本市場とつながりを持つ深圳企業の成長や事業展開の動きを引き続き注視してまいります。日本と深圳の企業・関係者が交流し、互いの強みを知る機会づくりに努めてまいります。
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