
深圳に本社を置く華為技術(ファーウェイ)が深圳で開いた開発者会議の内容が2026年6月15日に報じられ、AIエージェントを軸に再構築した「HarmonyOS 7」の開発者向けベータ版の公開が明らかになりました。HarmonyOS 6搭載端末は6,600万台を超えたとしています。
概要
深圳に本社を置く華為技術(ファーウェイ)は、2026年6月12日に深圳で開催した「2026年HarmonyOS開発者大会(HDC)」で、独自の基本ソフト(OS)の新版「HarmonyOS 7」の開発者向けベータ版を公開しました。その内容は6月15日、中国日報(China Daily)の報道として深圳市政府の英語サイトにも掲載されました。新版は空間コンピューティング機能を加え、「インテリジェントエージェントの時代」に向けて全面的に刷新されたもので、同社はAIを中心に完全に再構築された業界初のOSを目指すとしています。
背景
ファーウェイは深圳市龍崗区に本社を置く中国を代表するICT企業で、スマートフォンをはじめとする端末事業でも独自のOS「HarmonyOS(鴻蒙)」の普及を進めてきました。近年は、生成AIや大規模言語モデルを端末やOSに深く組み込む動きが世界的に広がっており、OSの役割は、アプリを動かす基盤から、利用者の意図をくみ取って複数のサービスを連携させる「エージェント」へと変化しつつあるとみられています。今回の発表は、こうした潮流に対応したものと位置づけられます。
主なポイント
- エージェント型のアーキテクチャ:AI機能群「Harmony Intelligence」はエージェントを基盤とする構造となり、音声アシスタント「小芸(Xiaoyi)」がOS全体の「スマートな中核」と位置づけられました。
- 空間コンピューティング:新版では空間コンピューティングの機能が追加されました。
- マルチデバイス展開:スマートフォン、タブレット、ウェアラブル、PC、自動車をつなぐ体験を目指し、PC、スマートスクリーン、スマートウォッチ、車載システム向けの製品開発を並行して進めているとしています。
- オープンソースのAIモデル:大規模言語モデル「openPangu 2.0」をオープンソース化し、最大のモデルは5,050億パラメータとされています。
| エコシステム指標(同社発表) | 数値 |
|---|---|
| HarmonyOS 6搭載端末 | 6,600万台超 |
| 登録開発者数 | 1,100万人 |
| AppGalleryのアプリ・サービス | 40万超 |
| ネイティブ対応を完了したもの | 2万3,000超 |
同社端末事業グループの余承東氏は、HarmonyOS 6が中国で2番目に大きなスマートフォンOSになったと述べました。なお、これらの数値はいずれも同社幹部の発言に基づくものです。
日本・深圳の交流への意味
AIを中心に据えたOSの開発競争は、端末メーカーだけでなく、アプリやコンテンツ、サービスを提供する企業にも影響を及ぼすとみられます。中国市場で事業を展開する日本企業にとっては、HarmonyOSのエコシステムへの対応がサービス提供の前提条件の一つになりつつあるとの見方もあり、今後の動向に注目が集まっています。また、深圳を拠点とする企業がOSや大規模言語モデルといった基盤技術の分野で存在感を高めていることは、深圳の産業構造がハードウェアの製造からソフトウェアやAIへと広がっていることを示すものとみられます。日本の研究機関や企業にとっても、深圳の技術動向を把握する意義は大きいと考えられます。
今回の開発者会議では、大規模言語モデルの開発体制についても説明がありました。余承東氏は、同社の計算資源の多くが国内の他企業の支援に充てられ、社内で使える資源には限りがあるとしたうえで、数千億パラメータ規模のモデルによって計算効率を高めることを目指していると述べました。また、中国で首位から世界首位を目指すとの目標も示しました。OSとAIモデルを一体で開発する同社の方向性が、より鮮明になったといえます。開発者やアプリの数が拡大していることから、ソフトウェア開発やローカライズを担う企業にとっても、新たな業務機会が生まれる可能性があります。
今後の見通し
今回公開されたのは開発者向けベータ版であり、一般利用者向けの正式版の提供時期は報道では示されていません。また、報道では海外市場での展開計画には触れられておらず、日本を含む海外での提供の有無や時期は明らかになっていません。
促進会より
当会は、深圳企業による先端技術の動きについて、日本の会員の皆さまへの情報提供に努めてまいります。今後も、技術や産業をテーマとした日本と深圳の交流の機会づくりに取り組んでまいります。
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