
◆日本深圳経貿文化促進会 会長 翁 道逵
先日、深圳市の『現代的国際大都市建設の加速に関する工作方案(2025―2027年)』が公表され、中国の改革開放の先駆けであるこの都市が、国際化発展の新たな章を開いたことを示しました。世界経済の構図が大きく調整される中、深圳の国際化の進展は、中国の都市発展モデルの転換・高度化に関わるだけでなく、アジア太平洋地域の経済構図にも深い影響を及ぼすでしょう。アジアの重要な経済大国であり、深圳の重要な経済・貿易パートナーである日本も、このプロセスにおいて独自の、そして重要な役割を担っています。
日本企業による深圳への投資の歴史は長く、1980年代からソニー、パナソニック、日立などの日本企業が相次いで深圳に生産拠点を設け、深圳の電子製造業の発展に先進的な技術と経営ノウハウをもたらしました。現在、日本は深圳にとって第3位の外資の出資国となっており、深圳の日系企業は1,000社を超え、投資分野も従来の製造業から金融、テクノロジー、サービス業などの高付加価値分野へと広がっています。
科学技術イノベーションの分野でも、深圳と日本の協力は深化を続けています。ファーウェイとNTTドコモによる5G技術の研究開発協力、テンセントとソフトバンクによるAI分野の共同研究は、いずれも双方の科学技術イノベーションにおける緊密な結びつきを示しています。こうした協力は技術の進歩を促すだけでなく、両地域の企業に大きな経済的利益をもたらしています。
文化交流の面では、深圳は日本の複数の都市と友好都市関係を結び、定期的に文化交流イベントを開催しています。日本のアニメや漫画、デザインなどの文化は深圳の若者に広く親しまれており、深圳のイノベーション文化も日本社会で次第に知られるようになっています。
日本企業は、深圳の充実したサプライチェーンとイノベーション・エコシステムを高く評価しています。深圳には研究開発・設計から生産・製造、さらに市場販売に至るまでの完全な産業チェーンがあり、日本企業に良好な発展環境を提供しています。同時に、深圳の活発なイノベーションの気風と豊富な人材資源も、日本企業の技術革新を力強く支えています。
地域経済協力の面では、日本は深圳を粤港澳大湾区(広東・香港・マカオ・グレーターベイエリア)への重要な玄関口と位置づけています。深圳との協力を深めることで、日本企業は大湾区の建設により深く参画し、地域発展の恩恵を共有することができます。特に金融、科学技術サービスなどの分野で、日本企業は大きな発展の機会を見いだしています。
中国の産業高度化に対応し、日本企業も積極的に戦略を調整しています。従来の加工・製造から研究開発・設計、ブランド運営などの高付加価値領域へと事業を広げ、深圳の地元企業と強みを補完し合う協力関係を築いています。
言うまでもなく、中日両国は科学技術イノベーションの分野で一定の競合関係にあります。AIや新エネルギーなどの先端分野では、双方の企業がいずれも優位に立つことを望んでいます。こうした競争は技術の進歩を促す一方で、踏み込んだ協力の妨げとなる可能性もあります。
文化の違いによる経営上の課題も軽視できません。日本企業の厳格な経営スタイルと、深圳のスピーディーで柔軟なビジネス文化には違いがあり、これがある程度、協力の効率に影響しています。双方は意思疎通と相互理解を深め、より包摂的な協力モデルを構築する必要があります。
協力を深めるため、深圳と日本の双方が常設の交流メカニズムを構築して政策面の連携を強化すること、企業間の戦略的提携を促して第三国市場を共同で開拓すること、そして人材交流を強化し、異文化マネジメント能力を備えた複合型人材を育成することを提言します。
世界経済の構図が大きく変化する中、深圳と日本の協力は重要な戦略的意義を持っています。協力を深めることで、双方は互恵・ウィンウィンを実現できるだけでなく、アジア太平洋地域の経済統合に新たな原動力をもたらすことができます。今後、深圳はビジネス環境のさらなる改善とイノベーション・エコシステムの充実を図り、日本企業により広い発展の場を提供すべきです。同時に、双方は長期的な視点に立ち、デジタル経済やグリーン経済などの新興分野で協力を強化し、地球規模の課題に共に取り組み、開かれた世界経済の構築に貢献すべきです。

